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委員会

第8回 関西のインフラ強化を進める会 開催日:令和元年.7.31(水) 開催場所:大阪キャッスルホテル 菊・桜・梅・竹

議事
1. 基調説明
「2025年 大阪・関西万博」
梅村 宏尚 氏((一社)2025年日本国際博覧会協会)
2. 基調説明
「歴史文化を活かす関西-百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産指定を契機に」
井戸 智樹 氏((一社)世界文化遺産地域連携会議 世話役)
3. 意見交換
4. その他
・2050ビジョン「多様な交通モードでシームレスな移動」(素案)

1. 基調説明「「2025年日本国際博覧会」に向けて」講演資料(1.92MB)

梅村 宏尚 氏((一社)2025年日本国際博覧会協会)

はじめに

国際博覧会協会で整備局長をしております梅村宏尚と申します。よろしくお願いいたします。

半年以上前に大阪・関西で万博を開くということが決定され、皆様方には多数ご支援いただきありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

いよいよ万博は1月31日より協会が設立し、2月1日より私ども仕事を始めておりますが、まさに始まったところという感じです。

今日は万博の内容についてご説明させていただきます。全体像については、皆様は既にご存じかと思いますので簡単にご説明させていただいて、万博にまつわる交通計画、輸送、インフラ整備のあたりをご説明させていただければと思っております。

万博会場

最初に、会場の位置は夢洲埋め立て地に立地します。ここが会場位置です。

関空、神戸空港、大阪空港との位置関係は25km圏、京都、奈良の観光地より50km圏内となります。非常に交通の便もよく、関西圏の京阪神とも近いということになっています。

こちらがもうすこし拡大したものです。

会場になる夢洲ですが、環状線との位置関係を示したものでございます。

これが5km圏内、10km圏内、15km圏内です。

鉄道なり、道路でもアクセスしやすいことを見ていただけるかと思います。

少し会場を拡大しまして。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、夢洲は390haの人工島です。390haがどれくらいあるかということを例える時には、甲子園球場がちょうど100個分あります。甲子園球場は3.9haで約4ha。島の中に甲子園球場が100個分、そのうちの155haが万博会場予定地です。

現状は、こちらの方にコンテナターミナル、物流の施設があり、現在も稼働中です。

メガソーラーと書いてありますが、メガソーラー太陽光発電の施設があります。

それから、ここは水面になっていますが、内水面。わかりやすく言うと「みずたまり」なのですが、こういうところもある埋め立てを進めているような場所と思っていただけたらと思います。

この島に行くには、南からは鉄道では中央線メトロに乗りまして、ここで降りて、鉄道はないです。ここにトンネルがあり、夢洲へは道路で行ける。北からは舞洲というところから橋がありまして、その橋を道路で渡って行くということになっています。今、道路、トンネル、橋があります。点線(PP)は万博に合わせて、咲洲のところで止まっている地下鉄メトロを1駅延伸するということで、工事に入ろうとしていることで点線をかかせてもらっています。これが万博会場の現状となります。

万博の内容ということで、1枚ご用意させていただきました。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、サブテーマは「多様で心身ともに健康な生き方」「持続可能な社会・経済システム」であります。コンセプトの方はわかりやすいかもしれません。「未来社会の実験ということで、今回の万博は、従来の《展示をみる》ということが主体ではなくて、《実際に皆さんに体験していただく》とか《未来の社会実証実験》をそういったことを大きいネタにやっていくということが新しい試みであるというふうにいっております。

万博の会期はご承知のように、2025年5月から半年間、場所は夢洲です。想定来場者数として2820万人を想定しております。この数字につきましては、直近に日本で開催した愛知万博の来場者数をもとに試算して、2820万人としております。会場建設にかかる費用としては1250億円。民間の方々からのご寄付 1/3、国からの補助 1/3、地元自治体ということで、府市からのお金が 1/3で1250億円となっています。それから、運営経費としまして 820億(万博を開催するに当たっての資金)ですが、これについては、財源としては万博のチケット収入等々を当てていくということであります。

少し俯瞰したようなイメージ図がこれです。先ほどのソーラーパネルは会期中にもあるということです。それから内水面についてはウォーターワールド、後ほどお話ししますけれど、そういったことで、水面を活用したしつらえというふうな絵になっています。

今の図を拡大しまして。整備局という仕事柄、会場整備をすること、交通アクセスを検討する、対策計画を練るというのが担当ですので、そちらを中心に万博のことを説明して行きたいと思います。

これが会場のイメージ図です。立候補した時の立候補申請書(ビット・ドシエ)に記載されている万博会場のイメージ図ということで、ここがパビリオンが立地するパビリオンワールド、ここが内水面を生かして万博会場にふさわしいウォーターワールド、こちらがソーラーパネル(今でも電力を発電していて、このまま会期中も発電している)の横に緑地帯的な用途スペースを整備したグリーンワールドと、大きく3つの構成となっています。 実際の会場の人の流れとかアプローチとしては、自動車のトンネルがここから出てきます。鉄道もここを通って延伸してきて、鉄道の駅がこのあたりにできます。その鉄道の駅から出てきたあたりにエントランスができ、鉄道で来た方はここから会場に入るということになります。

道路で、車に乗って来られた方々用に(シャトルバスがメインでありますが)、バスターミナル、タクシーのターミナルを整備、こちらの方に降りていただいて、ここが車で来場される方のエントランスというイメージです。

そのエントランスの広場以外に、こちらの会場の一番の特徴としては、非中心離散型といっているのですが、従来の万博、特に70年万博であれば真ん中にお祭り広場というシンボル等があって(エキスポタワー)、今残っているのは太陽の塔ですが、会場が幾何学的に整備されるというような会場計画が多かったのですが、こちらの会場の特徴はシンボル、中心になるようなものを作らず、非中心離散型で(ある程度のまとまりも必要だとは思っているのですが)いろんな施設が自然発生的に広がったようなものをモチーフにしています。

そういったものをどうやって結んでいるかというと、まるこい部分、漢字で「空」と書いて「くう」と呼んでいるのですが、そういう広場空間を5つ設けていまして、それをメインストリートと呼んでいる、人の流れで一番太い動線で結んでいます。メインストリートには雨風を凌げるような屋根をかけていきます。当然、会期期間は夏場もありますから、熱中症にならないようにとも考えています。

そのような骨格になるような部分があって、その中にパビリオンがボロノイ(多角形)という、お聞きになった方もおられると思いますが、2つの中心から等距離に自然発生的に多角形を描かれるとこういうふうになるということらしいのですが、こういう離散型というような会場レイアウトとなっています。

※ボロノイ:2つの中心から等距離に自然発生的に多角形を描いたもの。

視察に来られる方によく聞かれることですが、埋め立て地にできるので台風等の自然災害的には大丈夫かという質問があります。そのときにご説明する時の資料です。

これが大阪湾の海面です。ここに埋立地の護岸がありまして、さきほど言った内水面はこちらで中に真水がたまっています。

実際の会場の地面はこの高さですので、海の水面から10mぐらい高いところにあります。 南海トラフの地震時の津波とか、この前の台風、観測史上最高の潮位だったということですが、そういった高潮の時でもさらに5mは余裕があるということをお示ししたものです。海に実際に接している部分は護岸、そこから距離があって、水面というのはこの内水面ということになっています。

ちなみにこの内水面ですが、この埋立地は基本、浚渫土砂とか建設時に出た土などで埋めています。海とか川の浚渫土砂が一番多いです。それを運んできて、当然、水が染み出します。浚渫土砂ですので。その水が圧送されてたまったものがここにたまっている水なのです。それで、水が抜けた土で埋めていっているということです。その浚渫土砂から染み出した水(真水)と夢洲の雨水がたまったものをうまく生かそうとしています。

もう一つ埋立てのことで申し上げると、グリーンワールド、メガソーラー部分ですが、 大阪港の特性としまして、西、北からの風波が強いという理由で、この方向は岸壁としては適さないという位置関係にあります。ですから波の静かなこちらが岸壁となっています。 埠頭、岸壁として適さない部分については緑地ということをメインに埋立てされています。ここのところにはゴミを燃やした、そういった焼却灰となる土を使って埋めています。ですから、当然、環境的なことへの廃棄物の法律のこともあって、上に建物を立てることができないという理由もあって、オープンスペースとしての活用ということを基本に考えています。さきほどのグリーンワールドということとなっております。ここはおそらくバスの発着場などができるであろうと思います。

来場者輸送計画・インフラ整備

ここからはインフラの話に近くなっていくのですが、さきほど2820万人の来場者を想定していると申し上げましたが、国内からの来場者は2470万人、海外からは350万人と想定しておりまして、その方々の来場のピークの日はどれくらいになるのかということで、愛知万博の時のピークの10日間の平均を参考に出した数字とピーク率をかけて、28万5千人/日と設定しております。

一番ピーク時に人が来場する時間帯、人数はどれくらいになるかというのがこちらにあります。ピーク時の入場者は、万博は9時から始まるイメージで考えますと、始まる前にたくさん来られるということで、朝の8~9時ぐらいに5.9万人、約6万人(一番多い日の20%強)の方が朝に訪れるだろうということを設定しています。

ピーク時の来場者の方の処理を前提に、どのように交通を振り分けていくかということがこちらの表に表しています。

延伸した鉄道で4割の人を運ぼうとしています。夢洲の中にマイカーで来て、そのまま会場の駐車場に止めて入っていただくことは今回はやらなくてですね、マイカーで来られる方については、夢洲以外のところに場外の駐車場を作りまして、そこからシャトルバスで来ていただくというふうなものを考えています。

それと、関空、大阪空港、主要な駅からもシャトルバスで来場していただくことを考えております。そういうシャトルバス等で、主要駅(大阪空港、関空、新大阪、大阪、梅田、弁天町、天王寺、なんば、桜島、尼崎)からシャトルバスで2割の人を運ぶ。

それと、会場外の駐車場からシャトルバスで乗り換えていただいて来る、一番近いのは舞洲になるのですが、舞洲以外にもいくつか、堺の方とか尼崎の方あたりに場外来場を設けまして、そこからバスに乗り換えてきてもらう。観光バスとかタクシー、そういった方々で4割ということで、こういう割合で人を運んでいくというふうに想定しています。

先ほどの図式に書いたものを横の流れにしております。

28万5千人を、鉄道で11.4万人、シャトルバスで5.7万人、自動車で11.4万人(駐車場で乗り換える方、タクシー、観光バス含めて)と想定しています。

そういった方々が鉄道で駅まで来る、主要駅・空港からでシャトルバスで来る、場外の駐車場に停めてシャトルバスで来る、観光バス・タクシーで来る、そして会場内のバスターミナル的なところに降りて会場に入っていくというふうなことになっております。

これを実現していく中で、万博協会の整備ではなく、公共側、事業主体としては大阪市、大阪府からも負担をしていきながら整備をして行かれるということでございます。

先ほどより申し上げでいますとおり、地下鉄中央線を1駅延伸します。

舞洲と夢洲をつなぐここの夢舞大橋を、現在、2車線/2車線の4車線になっておりますが、1車線ずつ広げまして6車線とします。実際はガードレール状のもので1車線ずつ使っていない状態なので、それを使えるようにするということ、それと環境の整備をするということになっております。

それと、ここに此花大橋がありまして、これは舞洲と此花区の既成の市街地の方、湾岸線ランプとの結節になるようなところです。此花大橋も今、2車線/2車線の4車線となっているところを、万博に間に合うように、歩道を車道化することにより6車線にするということになります。

それと、ここに書ききれてないのですが、夢洲のなかで実際のコンテナの車がこうあって、特に多いのがこっちから入っていく、ここでコンテナのやりとりをする。 シャトルバスは赤い線と青い線で、主に北側のルートを通ってシャトルバスがくると想定しておりますので、そういうコンテナの物流の動線とシャトルバスや通常の交通が交差点とかで混雑しないように、交差点立体化も計画されているということです。

のちほどお話しをしますが、こちら側の方に水上交通ということで、海からのアプローチですが、現在、浚渫土砂をあげるのにここに着岸していますが、着岸はできるのですが、一定の岸壁というのを大阪市で整備を考えているということを伺っています。

こちらを見ていただいた方がよりわかりやすいですね。

先ほどの地下鉄の延伸、橋の車線の拡幅、岸壁(船着場)の整備を予定しています。

図解の絵を用意しておりますので、ご覧ください。

これが咲洲から夢洲へのトンネルです。自動車も現在通れる状態になっています。沈埋トンネルということで、海の底を掘り、箱を海の中に沈めてそこを自動車と鉄道が通るということで、こういう形態のものがすでに海底にあります。それで、今、電車がないのでこの部分が空洞になっています。ここを使って車が行き来しているということです。

今回、万博に合わせまして、ここに新しい駅ができるイメージですが、既設のトンネルと沈埋トンネルとをシールドでつないでいく、駅を作って、ここをつないで電車が通れるような施設整備をするという計画です。

夢洲と舞洲を結ぶ夢舞大橋は、大阪港でいうと、ここが主航路、メインの航路になっています。ここに一番大きな船が着くコンテナ埠頭があります。この船がここで出入りする。この主航路が何かの理由で通れなくなった時に、大きい船が通れるように、夢舞大橋のところはサブのルートとして考えられておりますが、今の橋はそのままではそういう船が通れないので、20数mだったかな、くぐれないので、そういった事態の時にはこちら側を通れるように船で動かして通れるようにする、そういった橋でできているのですが、通常はもちろん普通の橋になっています。

この橋について、4車線になっているところを1車線ずつ広げて6車線にするということです。

此花大橋についても現在、4車線になっておりますが、1車線ずつ広げて6車線に広げます。歩道がなくなりますので、万博あとになりますけれども、歩道もつけていくということをやっていくということです。

さきほどの地図になかったのですが、夢洲の中の物流と万博への一般の道路の車の流れ、それから、ここはIRが予定されています。

観光と書いていますが、物流の車の動線と観光の車の動線を分けるべく、(これはイメージパースですが)こういう交差点のところを立体交差化して、車の混入を未然に防いでスムーズに流れるようにするといったことを計画しておりまして、工事も入っていくということです。こういう形になっているイメージですが、上と下にわかれて物流が下側、観光のシャトルバスが上側をといったことを計画しております。

万博開催に向けた概略スケジュール

万博のスケジュールですが、2018年11月23日に開催国に決定されまして、まず最初に大きいミッションとして山があるのは、2020年5月にBIE(国際博覧会事務局)に対して登録申請書を提出しなければいけない。万博開催の5年前が提出期限になっています。立候補した時の申請書(ビット・ドシエ)よりも、より詳細化した登録申請書を提出しなければなりません。

年2回、BIEの総会があり(6月/11月)、6月の総会で承認を得て初めて正式に参加国招致ができるので、来年の10月からドバイで万博が開催されますので、この万博で本格的に招致活動をしていこうとしています。

5月の登録申請書提出がまず大きい山であります。国の方で考えているのは、年内にBIEに提出しながら協議を進めていき、承認を得られるようにしたいと考えています。現在、協会としては登録申請書作りに尽力しています。

もう一つは、会場整備だけではなく、その他、いろいろ企画していかなくてはいけない。会場整備のことで言いますと、建築期間は2年間と想定しております。といいますのも、開催2年前には各国のパビリオンを建てる場所、企業のパビリオンを建てる場所、敷地を提供しなければいけないということで、この2年間をメインの建築期間と考えています。

一方で、ここの点線部分の水がたまっているところ(30ha)は海の方へ水を流すことができるので、水位をある程度調整できます。ここにある水を、最後きれいになったら海の方へ流していくので、その分、高さが調節できます。

水の部分のここまで(PPを指して)は30haは急速埋め立てということで、大阪市港湾局の方で埋め立て工事をしています。

埋め立て工事をして、それにより土が埋まりますが、埋めたままではダメなので、3年間埋め立てし、圧密期間を経て、会場の土台みたいなものができるのに時間がかかります。建築するまでに、設計業務、申請業務を行っています。そういう流れで会場整備がなされています。

会場整備には、当然、会場内のインフラ整備をする必要があります。埋め立ての圧密し土がおさまり、工事をしていくことになりますが、そういった建築なり土木工事の設計をする前段に基本計画を作成していかなくてはいけない。それを来年の秋(2020年)を目標に、協会の方で作成しております。

それは、会場整備の件だけではなく、実際、万博の中でどんなことをするのかということについても、そちらの方が大きいのですが、その基本計画も同時並行に、今、すすめております。登録申請書提出、その承認が直近のミッション、そのあと基本計画作成がその先にあるミッションであります。

それに向けて、整備局だけではなく、企画局、総務局、国際局と、総力をあげて取り組んでいるところでございます。

以上、博覧会についての説明を終わらせていただきます。

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