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委員会

第1回 関西のインフラ強化を進める会 開催日:H29.04.25(火) 開催場所:大阪キャッスルホテル7階

議事
1. 基調講演「関西のインフラ強化の課題」
小林 潔司 委員長(京都大学経営管理大学院 経営研究センター長)
2. 今後、議論していくテーマについて ― 各委員の主な発言内容 ―

2. 今後、議論していくテーマについて
  ― 各委員の主な発言内容 ―        PDF(205KB)

1. 関西が成長する土台づくり
① 南海経済軸の形成
・スーパーメガリージョンの一翼として、近畿圏を大きくする必要がある。そのためには、関西はルックウエストによって、西日本、九州、四国と一体とならなければならない。
南海経済軸(大分~愛媛~徳島~和歌山)は、九州~関西まで最短であり、できることで厚みのある西日本になっていく。
九州、四国、関西とも陸上部の整備はほとんど完成しており、京奈和道もほぼつながってきた。大分~愛媛のフェリーも満杯の状況であり、今後は、徳島~和歌山のフェリー需要も増加すると思われる。
架橋の構想もあるが、当面は、阪和道~フェリー乗り場までのアクセス整備とか、フェリー港の整備が必要である。
② スーパーメガリージョン
・リニアが大阪までつながったというだけでは、東京に吸い取られてしまうだけである。分野横断的な取り組み(インフラ、観光、産業振興、まちづくり等)が必要とともに、西日本とも交流し、応援してもらう必要がある。
③ クルーズ船の増加に伴う港湾整備等
・クルーズ船は、日本でブームとなってきており、神戸港、大阪港、舞鶴港でも需要が増加している。クルーズ港の整備、観光地と結ぶ鉄道・道路の整備、結節点の整備が重要である。
・また、エネルギーについては、今後LNGが中心になってくると思われる。LNGの基地を中心とするバルクエネルギー港湾の整備が、関東でも取りざたされているが、先駆けて関西で必要である。
④ 港湾管理者の一元化
・阪神港は釜山と同じぐらいの面積であるのに、港湾管理者が四つある。そのため、物流コストが高くなり、お隣の釜山港に取られている。港湾管理者を一元化することにより、物流コストを下げることができる。
⑤ 広域交通政策
・行政の境を超えた広域的な交通行政機構が日本にはない。欧米先進諸国では、大きな権限と財源を持った機関がある。
・阪急がなにわ筋線にも関わってくるならば、関空、新大阪、伊丹が鉄道で結ばれる。空港戦略の議論が必要である。
⑥ 物流としてのフェリー活用
・国内物流を考えるときに、フェリーの活用が今後ますます重要となってくると思われる。
⑦ 先見性を持った整備
・現在の関西におけるインバウンドの伸びは、関空に2本目の滑走路を作ったことによるものである。これがなかったら、インバウンドは東京や中部に行くのではなく、他国にいっていたと思われる。先見性を持って、インフラを作ることが大切である。
2. 歴史・文化・観光
① 地域連携による南北近畿の観光振興
・京阪神はほおっておいても観光客は集まってくる。今後は、地域連携により南北近畿の活性化を進めて行く必要がある。特に北近畿地域については、京都縦貫道、舞鶴若狭道、名神高速で、京都、若狭、琵琶湖を一周する高速道路が形成され、地域連携による観光振興をはかっていくことが可能である。
・ローカルな地域では、移動手段がなければ観光客はこない。住民が生活でき、観光客がそれなりに移動できる交通手段が必要である。今は路線バスしかないが、どんどん廃止されており、路線バスに変わるものとして、新しい交通システムの検討も必要か。
② 世界遺産へのアクセス向上
・高野山や吉野の世界遺産へのアクセス向上のために、新大阪、大阪から鉄道で直接結ぶべきである。幸いにして、関西は狭軌が多いため、十分可能であると思われる。
③ 鉄道の観光移動への活用
・2000万人のインバウンドをうまくさばくために、日本は世界に類を見ない、「1時間に10万人をさばく鉄道」、「1時間に12本走る新幹線」を持っており、それをもっと観光に活かしていくべきである。
④ 文化庁移転とインフラ整備
・文化庁の移転に伴い、その効果を発揮するためには、文化の視点を取り入れた都市環境整備なりインフラ整備が必要である。
⑤ 関西ワールドマスターズゲームズ
・2021年、関西ワールドマスターズゲームズが開催されるが、これを成功させるには、各会場を連絡する交通インフラのつなぎ方がポイントである。すなわち、スポーツツーリズムを支えるのもインフラの役割である。
3. 京阪神地域のまちづくり
① うめきたの次の都市開発
・うめきたの開発も目処がついてきたが、次の都市開発が計画されていない。
森ノ宮には、JRの停車場やURの土地等があり、京橋と一体となった都市開発が十分可能である。
また、なにわ筋線が計画されているが、東京などでは、鉄道を整備する際には都市再開発も同時に整備されており、なんばエリアで進めていくべきである。
② 大阪都市圏の整備
・関西大環状道路の内側は、面積的には、首都圏の圏央道、名古屋圏の東海環状と同じである。首都圏、名古屋圏に対抗し、都市圏を拡げ、経済圏を拡げるためにも、関西大環状道路の内側を大阪都市圏ととらえ、都市間連携の強化や交通政策を進めていく必要がある。
③ 大阪都市圏の拡大と機能の再配分
・大阪都市圏をより拡大して、例えば京都、神戸まで入れて、都市圏の機能の再配分を考えて行く必要がある。ウメキタの次には、三ノ宮の開発、京都駅周辺の開発など進めていくべきであるが、役割分担を考えて、例えば大阪は関空の玄関としてのハブ機能など、それぞれの役割を踏まえた計画とすべきである。
4. 夢洲まちづくり構想への支援
・大阪万博、IR構想を支援する新しいインフラ整備については、PFI、PPP、インフラファンドをもっと積極的に使うことを提案したい。
また、大阪万博のネーミングは「瀬戸内・関西・大阪万博」とすべきである。瀬戸内海は、世界的にみてもすばらしいポテンシャルをもっており、瀬戸内海を世界有数のカジノリゾートとするために、この機会に打ち出していきたい。
・新大阪、大阪から夢洲へ直接乗り入れる鉄道が必要である。また、道路では阪神高速のランプをロングランプにして接続する必要がある。
5. インフラとしての情報の活用
・情報については、日進月歩で進化しており、インフラの中で情報をどう活用していくのかが、今後重要な課題である。
6. 社会保障費とインフラ
・日本の医療費は40兆円であり、一昔前は、年間2兆円づつ増えていた。社会保障費を抑えるためには、普段出歩かない人に出歩いてもらって健康になってもらう仕組みが今後、必要であると思う。そのためには、国民が行きたくなる街を、乗りたくなる鉄道と走りたくなる道路でつなげる。すなわち、インフラ整備と目的地の文化や観光をいかにつなげていくかが重要である。
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