トップへ

委員会

第1回 関西のインフラ強化を進める会 開催日:H29.04.25(火) 開催場所:大阪キャッスルホテル7階

議事
1. 基調講演「関西のインフラ強化の課題」
小林 潔司 委員長(京都大学経営管理大学院 経営研究センター長)
2. 今後、議論していくテーマについて ― 各委員の主な発言内容 ―

1. 基調講演「関西のインフラ強化の課題」講演資料(916KB)

小林 潔司 委員長(京都大学経営管理大学院 経営研究センター長)

1. 会の設立

それでは関西のインフラ強化を進める会(仮称)を開催致します。

先ほど説明頂きました設立趣旨と、「関西のインフラ強化を進める会(仮称)」という、この会の名前のご提案を頂きましたが、まず、これから固めたいと思います。

皆さん、いかがですか?……。
「関西のインフラ強化を進める会」そのままだと思いますが、「わかりやすくていいんじゃないか」 と思います。ご意見ありませんか。(全員賛成)
わかりやすいことがいいのではと思います。
それでは仮称をとって「関西のインフラ強化を進める会」を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

2. 基調講演 -小林委員長-

それではトップバッターとして話を事務局からするように言われております。この前、リニアの講習会でメガリージョンの話をさせて頂きました。重複するところがありますが、10分ほど私の方から話題を提供させて頂き、その後、委員の皆さんの方から一人一人の考えをご披露して頂きたいと思います。

非常事態宣言がひかれているエチオピアで道路整備の話をし、その結果、日本のシステム、我々のアセットマネジメントのシステムの導入を決めました。アフリカで最初に導入した、モロッコも頑張っています。
エチオピアは青写真をきちんと描くという非常な重要な段階になってきました。これが一つの事例になるのではないかと思っています。

日本も高度経済成長期、我々の先輩方がいろいろなインフラの青写真を作ってくれたのを我々は今まで粛々とその実現を目指して50年ほどやってきました。
今では、だいたい概成し見通しはついてきたと思います。しかし、まだまだ残っております。

この50年間の間に世界はものすごく変わっており、これをスタート点におかないといけないと思います。遡って今年は大政奉還150周年、王政復古150周年、150年の半分が太平洋戦争の始まる前、戦争が終わってからちょうど半分になります。それを考えれば、明治から太平洋戦争までどれだけ日本社会が変わったかを考えると、一つは75年、50年が節目になるのではないかと思っています。

とりわけ、この10年、中国がここまで成長するとは誰も想像してませんでしたし、世界の経済成長が、ここまで特に開発途上国の経済成長が著しいということを想定していませんでした。そのなかで、次の青写真をきちっと描く、そういう段階ではないかと思います。

恩師の先生方から「おまえは我々の引いた青写真のうえを歩いてきただけではないか」というか、「いろいろ考えろ」と言われます。昔は造りやすかったですが(笑) 今はどれだけ大変か(笑)、理解してほしいと言いましたけど、その新しい方向性などをこの会でいろいろな側面から議論していきたいと思います。

もう一つは、成果主義、アウトプット主義で行きたい。議論ばかりして何も出さないというのはよくない。議論した成果をいろんな形で発表して頂きたい。

日本は明治の最初、日本の国会がどうあるべきか、いろいろいな人がいろんな意見を出し合った。その中から明治憲法などいろいろなものが生まれてきた。いろいろな構想、いろいろな青写真を出していくことが大事であり、この会ではそういう方向でいろいろな情報発信をさせて頂きたいと思っています。

まず初めに、最初にアジアゲートウェイとスーパーメガリージョンのこの二つを頭出ししています。皆さま方より多方面からご議論して頂きたいと思います。

アジアゲートウェイの役割

これは私の好きな図ですが、この白い円で囲った地域を対象として、私どもはアジアビジネスリーダープログラムを動かしているのですが、白い円の地域というは、特に経済成長著るしく、世界の人口の半分以上が、この白い円の中に住んでいるのです。

もうあと数年で世界のGDPの半分がこの白い円のなかにあるということになります。今まで関西はアジア指向と常々言っていましたけれども、心のどこかに東京を意識していました。
しかし、関西は世界の中心と考えればいいので、アジアとの近接性、これを原動力に取りいれて進めていくことが、一つの戦略としてあるのではないかと思います。

これから先は、皆さんご存じのインバウンドで観光客がいっぱい増えてきているといったいくつかの資料をお見せします。

これだけ増えてきて関西はインバウンドで一杯。日本語が聞こえてこない(笑)。
これで2000万強、これが4000万になると、どうなることかと思います。

しかし、それはありうる話で世界の中での観光客、データが少し古いが日本が世界の観光流動の幹線に乗っているのかいうと必ずしも乗っていない。
バンコクに行っている観光客数の方が日本に来る観光客より多い。それを考えると末端の路線がメーンの幹線の中に入れられてきた。こういう段階であります。

世界の観光旅行の動向

世界の観光流動ですが、国交省が作った図をみても日本はフィーダーの中にまだいると云わざるを得ない。

フィーダーでもこういうに満杯の状況になってきていると、それがメインストリームになってくるとどういう風に受け皿を作ればいいのか、システムそのものを見直して行く必要があるだろうと思います。

関西3空港の一体運用というものが目の前にせまってきましたが、一体運用をやったとしても、まだ足りないというのが事実だろうと思います。特にアクセスがもうちょっとで限界に来ているので、より広域的に観光客を受け入れて広域的に観光客の誘導をしていかなければならない。

成都の九寨溝の観光状況

少し遊びの話ですが、成都の九寨溝。途中の道は標高4000名メートを超える。
九寨溝の写真です。

九寨溝のマップ、二つの谷があり、30キロ、30キロの合計60キロの観光。
秋の平日で観光客が少なかったですが、それでも1日観光入り込み客数が10万人あったと言ってました。

国慶節の日には、1日100万人?くるとも言われています。

この10万人をいとも簡単に裁くのです。
現地にきてチケットを買うことはしない。ここに来る前に買っておく。
どんどん裁いていき、ひっきりなしにバスが入り、客に目的地を選ばさせてくれない。
右の谷に行くか、左の谷に行くかはバスしだい。

乗ったら一番上まで行き、一番上で降ろされて、あとは降りていく。バスも一部使う。西南交通大学がビッグデータを使って最適化を図りバスの運用をしている。
どこにいっても人が多い(笑)。しかし、これが中国流の客の裁き方、これぐらいの裁き方をしないとたくさんやってくる観光客をとてもじゃないけど、裁けるものでないとひしひしと感じました。

20世紀的経済スキーム

20世紀の経済スキームを簡単に紹介します。
アジアがどういう状況になっているかということですが、簡単なモジュール化された製品の東アジア生産比率は、デジタルカメラ100%、HDD100%、DVD92.2%、パソコン96.6%、これが現実。これら殆どが東アジアで全部つくっています。

東アジアの域内貿易の特徴ですが、ヨーロッパや北米とちがってサプライチェーンで動いています。
部品の貿易、中間財の貿易で殆ど。ヨーロッパと北米は最終製品を造って動かしています。ここはやっぱりダイナリズムでアジアは動いていっていることですね。

この経済性を活かした製品をコンテナ船を大型化して欧州航路に持って行っています。欧州へ行くときは満杯、帰ってくるのは半分も積んでいない。そういう状態になってきている。そんな中で東南アジアの役割、人口が多いが、GDPでいえば東南アジアを全部合わせても日本の半分弱しかない。

そこに日本の企業をいれる、或いは東南アジア自体の経済成長が進むような経済援助、経済交流の有り様。特にやっぱり関西が東南アジアと中国、インドとどう言う風に付き合うか、それがアジア地域全体で動くサプライチェーン全体の中で戦略を考えて行かないといけない。

関西の中のいろんな生産拠点、インフラ、それもアジアのサプライチェーンに資するシステムの設計をしていく必要があるのではないかと思っています。
いろんな戦略があるのでしょうが、東南アジアにどこがお付き合いするのか、東南アジアに日本の企業が出て行くのか?

安い賃金を求めて、労働力を求めて出て行くのは甘すぎます。東南アジアの賃金も高くなっている。あるとすれば東南アジアはヨーロッパに近い。中国よりヨーロッパに近い。東南アジアからヨーロッパに輸出する方が中国より安い。輸送費は安くて済みます。

この戦略をどう使っていくか。しかし、東南アジアは研究開発が遅れている。
新製品とか、将来、ノーベル賞がでるとはとても思えない。でもそういう東南アジアで技術革新を彼らもやっていかなければ生きていけない。中国のサプライチェーンに組み入れられていくだけでは将来性がない。

そこをどう関西が取り入れていくか、新製品の開発に入っていくか。財政とか現地のニーズを活かしたようなイノベーションに寄与するようなシナリオがあるのではないか。

二つのシナリオがどうしても出てくる。一つは多国籍企業が一つのデファクトスタンダードを巡って競争も必要になります。これに日本は勝っていかないと、なかなかアメリカに勝つのは厳しく、この戦略の中で勝負していく企業がもちろん必要であります。

もう一つ別のモデルは、それぞれの国の事情にあった、それぞれのしなやかな標準といったもの。そういうビジネスモデルを各国でローカリゼーションしていくと、その近接性、人間的な環境を出しながらやっていく方法、その戦略もあります。これを組み合わせてやっていかないといけないと思っています。

近畿圏の幹線道路網と事業の進捗

これから後の資料は、皆さん何度も目にされたとこだと思います。
幹線道路網の事業進捗というか、まだ播磨臨海とか、京奈和、まだ粛々とやらないとやらないところが残っておりますが、ここ最近急速に進捗してきたのではないかと喜んでいます。

これを踏まえて、今新しい、高速道路の料金の統一化の話とか、管理者の再編が行われた。そういうことを踏まえて、次の青写真をどう描くか、それはたぶん物的・量的な拡充というだけでなく、質的というのか、それに向かってどういうシステムを組み上げいくのかといった青写真が必要だと思います。

それから、もう一つはどこまで実現できるかわかりませんが、自動運転とか新しい前進的な技術、IOT技術を組み入れて、どういうふうな高度なインフラシステムにしていくことができるかといったそういう青写真を造っていく必要があるのではと思っております。

以 上

  • Adobe Readerダウンロードサイトへ
  • PDFファイルをご覧いただくにはAdobe Readerが必要です。
    左のバナーをクリックするとAdobe Readerのダウンロードサイトへジャンプします。